医学研究

私たちのからだ(体)の中では、からだ全体の状況に対応して作動し、究極、健康の維持に関わる機能が種々働いています。その機能に関わるものを大別してみますと、神経作用、免疫作用、ホルモン作用などがあります。また、それらの機能に関わる情報を担い、必要に応じてその情報を開示させられるものとして遺伝子と呼ばれるものが、私たちの体の中に存在しています。遺伝子は、言うなれば、体の設計図です。生命活動の維持に必須な情報が刻まれている根源的物質です。したがって、遺伝子の構造が保持され、情報が適切に開示されることは大変重要なことです。そのことにより、健康の維持を保証されることとなるのです。例えば、遺伝子における異常が要因となり、癌や老化などの万病がもたらされます。そこで、遺伝子を守ることは健康長寿の秘訣と言えます。

さて、健康長寿、即ち、病におかされることなく快適な状態で長生きすることを達成するには、どのような考え方をしたらよいのでしょうか。健康長寿をおびやかす要因は、どのようなものがあるのでしょうか。その要因については、あえて、2種類に集約してみます。それは、環境と遺伝子です。前者には、放射線、有害化学物質、重力などの様々な環境因子があります。それらは、私たちの体にとって、ストレス(正確には、ストレッサーと呼びますが、本論では、ストレスとストレッサーを区別せずに使うこととします)となるのです。長生きすればするほど、環境因子によるストレスに暴露される機会は増大するのです。もしも、ストレスを量として表現できるならば、累積するストレス量は莫大となります。

では、そのようなストレスにさらされる遺伝子を守るには、どのようにしたらよいのでしょうか。からだ全体の状況に応じて即座に作用し遺伝子を守るという機能を私たちは保持しているのでしょうか。残念ながら、上述の神経・免疫・ホルモンなどでは説明することができません。ところが、近年、新たな機能を見出したのです。SOS応答と呼ぶ機能です。SOSとは、文字通り、モールス信号のSOSです。すなわち、危機管理を意味するのです。ここでの危機とは、環境ストレスなどによる遺伝子における危機です。遺伝子が傷つき情報保持に支障が生じたり、遺伝子の情報を上手に開示するメカニズムが働けなくなる危機です。すると、そのような遺伝子における異常に対処する機能が作動するのです。それがSOS応答生理機能です。

ところで、私たちのからだを構成する細胞と呼ぶ構造があります。その細胞の中に遺伝子があります。そこで、細胞中には、遺伝子の危機管理にたずさわる物質が数多く存在します。それらの物質の働きを統括するものとして、シャペロンというものがあります。では、私たちが五感により感知する環境の変化や体調の変動に対して、「遺伝子が危険な状態ですから対処をお願いします」とシャペロンへ注意をうながすものは何かです。どうやら、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)と呼ぶものが注意信号を出すようです。例えば、発癌をうながす物質を食べた場合、胸部X線検査で被曝した場合、運動をしたり仕事で身体を動かし、体の負担が過剰に負荷された場合、あるいは、精神的にダメージを受けた場合、などなど、いわゆるストレス状態では、プロテアーゼが注意をうながしているのです。例えば、徹夜作業をする人では、このプロテアーゼの活動が盛んです。健康維持における危機状態であることの警告を発して対応しているようです(参照)。そして、プロテアーゼとシャペロン、およびサイトカインという物質との絶妙な共同作業により、遺伝子が守られ、健康状態が保証されることとなります。

では、SOS応答の機能上重要な分子の代謝に、ライフセラミックスが、実際に、関われるのでしょうか。この疑問に答える実験データがあります。ライフセラミックスが作用するとして調査した分子は、シャペロンです。シャペロンは、タンパク質ですが、種々存在します。その中のGRP94, GRP78, HSP27が、SOS応答上の重要な分子です。SOS応答の根幹とも言えるそれらのシャペロン分子の代謝に、ライフセラミックスが関わることを示唆するデータです。
即ち、ライフセラミックス処理水(還元水やセラミックボール処理水)を用い栄養成分を加えた培養液で培養したヒト細胞において、シャペロン分子類(GRP94,GRP78,HSP27)の細胞内における量が増大するのです。また、シャペロン分子と歩調を合わせて作動する分子(Annexin II)の量も増大するのです。それら増大する分子は、細胞の内外で作用し、遺伝子である化学物質のDNAにおける構造の維持機能を調節します。例えば、DNAを構成する分子である塩基の種類が通常と代わる「変異」という現象がありますが、その変異が環境中の有害因子により誘導されることを阻止するのです。このようにして、ライフセラミックスがヒト遺伝子における変異発生を抑制すると推測されることとなります。

 

 

動画 掲載ページ 掲載年月日

2010春 千葉大学・亥鼻キャンパス
キャンパス便り 2010.5.26

蘇る風景2011 千葉・東京編・亥鼻キャンパス
キャンパス便り 2012.3.21

承徳医学院との交流
国際交流 2012.8.15

河北医科大学【1】法医系毒物学教室との日中共同研究の発展経緯および河北医科大学の風景
国際交流 2013.6.19

無から有を生む生命科学探究の四十五年間—ヒトのSOS応答生理機能の創成および放射能汚染調査の残照—
生涯学習講座 2012.6.19

味噌に関する研究
生涯学習講座 2012.6.19