医学研究

環境中の化学物質には、放射線と同様に癌原因子となりうるものが存在します。そこで、放射線に対応する実験研究からスタートしたヒトSOS応答生理機能の研究では、必然的に、化学物質にも注目してきました。例えば、人口甘味料のサッカリンがヒトにおける発癌の初期過程を促進することを示唆できました。
実は、DNAを構成する分子である塩基の種類が通常と代わる「変異」という現象がありますが、癌原因子の多くは、変異原作用も有します。サッカリンに関する研究ができた最大の理由は、SOS応答の研究において、ヒトにおける変異原因子を超感度で推測できる実験システムを構築できたことです。世界に類のない実験系です。例えば、RSaと呼ぶ培養ヒト細胞を用いると、癌遺伝子のひとつで発癌の初期過程で発生するとされるK-ras における変異を検知できるようにしたのです。
そこで、サッカリン処理RSa細胞でのK-ras 変異を解析したのです。その結果、世界に先駆けて、ヒト細胞におけるサッカリンの変異原作用を立証し、ひいては、サッカリンの癌原因子作用を示唆することに成功できたのです。

ところで、長崎における原爆被爆直後に、秋月辰一郎 医師がみそ(味噌)汁の摂取を積極的に奨励したとのことです。他方、みそ汁を飲む食生活習慣の人々の方がそのような習慣のない人々より癌にかかりにくいとする疫学調査があります。そして、それら全ての検証作業を包括して、ヒトSOS応答理論により、分子生物学的 にみそ汁の対癌効能を予測できたのです。

では、味噌と同じ制癌作用をライフセラミックスは有するかです。そこで、SOS応答の機能上重要な分子の代謝に注目します。シャペロンです(②参照)。シャペロンは、タンパク質ですが、種々存在します。その中のGRP94, GRP78, HSP27 が、SOS応答上の重要な分子です。SOS応答の根幹とも言えるそれらのシャペロン分子の代謝に、ライフセラミックスが関わるとの示唆があるのです。

ライフセラミックス処理水(還元水やセラミックボール処理水)を用いた栄養液で培養したヒト細胞においては、シャペロン分子類GRP94GRP78HSP27)の細胞内における量が増大するのです。また、シャペロン分子と歩調を合わせて作動する分子(Annexin II)の量も増大するのです。それら増大する分子は、細胞の内外で作用し、遺伝子である化学物質のDNAにおける構造の維持機能を調節することを示唆してきております。環境中の有害因子により誘導される変異を阻止するとの示唆です。どうやら、以上のようなメカニズムで、ライフセラミックスがヒト遺伝子における変異発生を抑制するとの推測も可能となっております。

 

動画 掲載ページ 掲載年月日

2010春 千葉大学・亥鼻キャンパス
キャンパス便り 2010.5.26

承徳医学院との交流
国際交流 2012.8.15

留学生との懇談会 —承徳医学院 視察団の来校—
国際交流 2013.3.22

河北医科大学【1】法医系毒物学教室との日中共同研究の発展経緯および河北医科大学の風景
国際交流 2013.6.19

無から有を生む生命科学探究の四十五年間—ヒトのSOS応答生理機能の創成および放射能汚染調査の残照—
生涯学習講座 2012.6.19

味噌に関する研究
生涯学習講座 2012.6.19

ライフセラミックスから学ぶ健康の泉 —放射線・生活習慣病編— ライフセラミックス処理飲用水ペットボトル
オンライン書庫 2014.7.30