医学研究

現代社会はストレス社会であるとも言われております。実は、ストレスとは、環境という視点からもわかるように、私たちが生きていく上で常に存在しているものです。避けては通れないものです。そこで、いかにストレス状態をバランスよく保てるかが、健康長寿へと結びつくコツなのです。そして、処理しきれない過剰なストレスをなるべく少なくする能力をからだにもたらすかが、重要となります。常日頃、予期せぬストレスにも対応可能な余力を持っていたいものです。ところで、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の活性を測定すると、その余力を推定できます。ただし、その測定には、血液と高価な測定器具を必要とし、測定作業も煩雑です。したがって、残念ながら、プロテアーゼの活性測定は、現実的ではありません。しかし、幸いなことに、その余力を知る簡単な方法もあるのです。唾液中のアミラーゼと呼ぶ物質の活性レベルを測定することで知るのです。アミラーゼとは、消化酵素の一種です。この酵素の活性レベルが高いと、ストレス状態のバランスが悪化していることを示唆し、低くなると、その悪化をくいとめる可能性があると理解されるのです。測定用キット器具を利用して、唾液を塗布したシールを用意すると、5〜6分で測定結果が示されます。

さて、ストレスとは一体何であるかです。ホルモン、あるいは交感と副交感の自律神経系によるバランス力という概念へと昇華されたものと言えます。ところが、その既存のストレス概念では遺伝子と環境により統括される生命力のシステムを語ることはできていないのです。1例として、ストレスと癌との関連です。ストレスは癌化の重大要因であろうと推測されているのですが、その詳細なメカニズムについては説明できていないのです。

実は、ライフセラミックスが唾液アミラーゼの活性レベルを下げることにより、ストレス状態をバランスよく管理することができそうなのです。そうすると、からだの中では、遺伝子を守るようにとSOS応答も適切に誘導されやすくなるようです。唾液アミラーゼテストの値に基づき、癌化への危険度をある程度予測できるようなのです。
SOS応答理論により、究極、癌化阻止の方策も示されつつあります(⑦参照)。

では、SOS応答と癌化との関連はどのように判明しているかです。K-rasと呼ぶ癌遺伝子があります。遺伝子とは、遺伝と称する生物現象を規定している因子という意味の概念です。その実体は化学上明らかにされ、DNAと呼ぶ構造体です。そのDNAの構成要素であり、遺伝情報の担い手である塩基類の1つが他の塩基へと変わる(変異する)と、癌化の初期過程のスイッチがオンとなるのです。そのスイッチを操作する分子類があります。いうなれば、現場担当者です。さらに、その担当者へ指令を出す分子類があるのです。スイッチをオンとすべきかオフとすべきかを決定するのです。いうなれば、スーパーバイザーです。それは、サイトカインプロテアーゼ、およびシャペロンと呼ばれている分子類です。このスーパーバイザーシステムこそ、種々の環境下のストレス状態に対処しつつ、遺伝子の命運を決めていると考えられます。

一方、驚くべきことに、ライフセラミックスには、酸化ストレスという重大なストレス傷害を抑える力もあるのです。酸化ストレスとは、遺伝子も含めてからだを構成する物質に傷をつけ、その結果、癌化や老化をもたらすと考えられています。健康障害の大きな要因と考えています。その酸化ストレスをもたらすものとして、環境中の放射線などがあります。さらに、常日ごろの食事により酸化ストレスの1種である活性酸素は発生しています。どうやら、ライフセラミックスが、そのような酸化ストレスに対処して抵抗する力を与えてくれるようなのです。

 

動画 掲載ページ 掲載年月日

承徳医学院との交流
国際交流 2012.8.15

無から有を生む生命科学探究の四十五年間—ヒトのSOS応答生理機能の創成および放射能汚染調査の残照—
生涯学習講座 2012.6.19

ヒトSOS応答研究基盤による健康長寿素材の開発情報(2)ライフセラミックス素材について
オンライン書庫 2016.6.20

講演1:生体と水 〜被災者に対する健康管理の視点から〜
生涯学習講座 2011.12.6

ライフセラミックスから学ぶ健康の泉 —放射線・生活習慣病編— ライフセラミックス処理飲用水ペットボトル
オンライン書庫 2014.7.30

環境医療 河川の癒し効果測定 都川・大野公園
キャンパス便り 2012.1.10